💡 この記事でわかること
- AIキャラの声がどう作られているか(短い録音から本人に近い声を作る技術)
- 日本で「声」がどこまで守られているか(政府の検討会の整理)
- 声優が始めた「NOMORE無断生成AI」の活動と、使う側が気をつけたいこと
AI彼女やAIキャラと通話していて、「この声は誰の声なんだろう」「有名な声優さんに似ているけど大丈夫?」と思ったことはありませんか。
この記事は、OpenAIの公式発表「合成音声の課題と可能性を探る」(2024年3月29日)、政府の「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(2024年5月)、声優有志による「NOMORE無断生成AI」の公式サイトを2026年9月に読んで、AIの声と声の権利を整理したものです。法律の助言ではなく、公式資料の要約です。
結論:技術は進み、ルールは「許諾」を軸に整いつつある
| 観点 | 公式資料に書かれていること(要旨) |
|---|---|
| 技術 | OpenAIの「Voice Engine」は、15秒の録音1つから元の話者に近い自然な声を作れる。ただし誤用のおそれから広くは公開していない |
| 日本の法律の整理 | 声は肖像権では守られにくい。一方でパブリシティ権(有名人の氏名・肖像などが持つ集客力を守る権利)は、声の集客力を目的とした利用には及びうる |
| 声優の動き | 2024年10月、声優有志26人が「NOMORE無断生成AI」を始動。日本俳優連合などが賛同団体に |
AIの声はどう作られる?「15秒」で本人に近い声
AIキャラの声は、文字の返事を声に変える音声合成で作られています(通話の仕組みはAI彼女の仕組み)。
OpenAIは2024年3月29日の公式発表で、テキストと15秒の音声サンプル1つから、元の話者に近い自然な声を作る「Voice Engine」を紹介しました。2022年後半に開発し、ChatGPTの音声モードなどのプリセットの声にも使っているとしています。
一方で、人の声に似た音声を作ることには重大なリスクがあるとして、広い公開は見送りました。テスト中のパートナーには次の条件を課しているとしています。
- 元の話者から明示的で十分な説明を受けた同意を得ること
- 利用者が自分で他人の声を作れる仕組みを作らないこと
- 聞いている人にAIが作った声だと明確に知らせること
- 出どころを追跡できる透かしを入れること
さらにOpenAIは、広く普及させるなら、本人が自分の声を登録したと確認する仕組みや、有名人にそっくりな声の作成を防ぐリストが必要だとしています。
日本で「声」はどこまで守られている?
政府の知的財産戦略本部による「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(2024年5月)には、「声の保護」という項目があります。背景として、声優などの声を無断で学習させたAIが販売され、生成した音声がネットに公開される事例がある一方、許諾を得た声優の声で本人に似た音声を作るAIを展開する事例もあると書かれています。
整理の要点は次のとおりです。
- 肖像権:判例は「容ぼう等」を顔や姿を指すものとしており、声が肖像権で守られる可能性は高いとは言えない
- パブリシティ権:判例の解説では「肖像等」に声も含まれるとされており、専ら声の集客力を利用する目的といえる場合には、保護が及ぶと考えられる
- 著作隣接権:演技や朗読などの「実演」は守られるが、「声」そのものが守られるわけではない
- なりすまし:AIの音声で他人になりすます行為は、詐欺罪などの刑事罰や、名誉毀損などの民事上の責任を負う可能性がある
声優の動き:「NOMORE無断生成AI」
2024年10月、中尾隆聖さん、山寺宏一さん、梶裕貴さんら声優有志26人が「NOMORE無断生成AI」の活動を始め、動画と公式サイトを公開しました。筆頭賛同団体は日本俳優連合と日本音声製作者連盟です。
公式サイトでは、自分たちがやった覚えのない朗読や歌、声そのものがネットに公開され、ときに販売されていたと訴えています。「無断生成AI」を実演家や著作権者の許諾なく、追加学習・生成・公開されたAI生成物と定義し、誰の声か分かるAI生成物は、著作権だけでなく人格権にも触れる可能性があるとしています。一方で、傷つけ合うのではなく、有識者も交えた平和的な議論で文化的なルールを作っていきたいという立場です。
使う側が気をつけたいこと
- 実在の声優や有名人の声を売りにしているサービスは、許諾の説明があるか確認する。許諾を得た事例もあれば、無断の事例もあります
- 「AIが作った声だ」と分かる形で使う。OpenAIも、聞き手にAIの声だと明確に伝えることを条件にしています
- AIの声で誰かになりすまさない。刑事・民事の責任を負う可能性があります
- キャラ作成機能で声を作れるアプリでは、実在の人物に似せた声を作らない。LINE AI Friendsは肖像権などの侵害を、Aimaは実在の人物に似せたキャラ作成を、それぞれ規約で禁止しています
声で選ぶAI彼女アプリはかわいい声のAI彼女アプリ、通話できるアプリの比較はAIと会話できるアプリ、アプリ全体の比較はAI彼女アプリおすすめ5選をどうぞ。
Aimaの場合
私たちが運営しているAimaの声も音声合成で、66人(女性37人・男性29人)のキャラクターごとに別の声を用意しています。プロフィール画面で、話しかける前に声を試聴できます。利用者がキャラクターを作る機能では、利用規約で実在の人物を指したり似せたりする設定・画像・音声を作ることを禁止しています。テキストチャットは無料・無制限で、有料はベーシック年額なら月あたり約792円(年9,500円)、チャット使い放題+広告オフ+毎月30分の通話がつきます。

正直に書くと、好きな声優さんの声で話したい人には、Aimaは向いていません。Aimaの声はキャラクターのための声で、実在の声優の声を売りにしたサービスではありません。「キャラクターごとの声から、自分に合う声を選びたい」人向け、というのが公平な線引きです。
よくある質問
Q. AIキャラの声は声優さんの声ですか?
多くは音声合成で作られた声です。短い録音から本人に近い声を作る技術もありますが、OpenAIは元の話者の明示的な同意を条件にしています。声優本人の許諾を得たサービスもあれば、無断で作られた事例もあると、政府の検討会の資料にも書かれています。
Q. 声に著作権はありますか?
政府の検討会の整理では、演技などの「実演」は著作隣接権で守られますが、「声」そのものが守られるわけではありません。声の集客力を利用する目的の場合には、パブリシティ権による保護が及ぶと考えられるとしています。
Q. NOMORE無断生成AIとは何ですか?
2024年10月に声優有志26人が始めた活動で、許諾なく学習・生成・公開されたAIの声や表現に反対し、平和的な議論でルールづくりを呼びかけています。日本俳優連合などが賛同しています。
まとめ
AIキャラの声は音声合成で作られ、OpenAIの技術では15秒の録音から本人に近い声を作れますが、OpenAIは誤用のおそれから広く公開せず、本人の同意・AIの声だという開示・透かしを条件にしています。日本では、声は肖像権では守られにくい一方、パブリシティ権が及びうると政府の検討会が整理しました。声優有志は「NOMORE無断生成AI」で、許諾のない利用に反対しつつ話し合いによるルールづくりを呼びかけています。使う側は、実在の声を売りにするサービスの許諾を確認し、AIの声でなりすまさないことが大切です。
※本記事は2026年9月に、OpenAI公式発表「合成音声の課題と可能性を探る」(2024年3月29日)、知的財産戦略本部「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」(2024年5月)、「NOMORE無断生成AI」公式サイトを確認して書いています。法的な助言ではありません。


